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 1.婚約指輪と結婚指輪の由来

 婚約指輪と結婚指輪の由来については諸説がありますが、ここではそれらを要約してご紹介します。

指輪が出来たのは

 指輪は未開社会では用いられていませんでした。つまり、狩猟、農耕には邪魔になったのだと考えられています。

 指輪の歴史が始まるのは古代エジプトあたりからで、金のほか、貝殻、軟らかい石、アメジストで作られ、大衆用には陶器で作られていました。

 エジプトでは、左手が指輪をはめる資格を持つ手と見なされ、特に薬指が「指輪の指」とされていました。

婚約指輪の由来

 古代ローマ人がプレーンな鉄の輪を、約束の履行を誓約するしるしとして婚約指輪として初めて用いました。紳士階級の間では、屋内では鉄の指輪を使い、屋外では、もっと価値のある金のバンドに取り替えたということです。

 紀元後4世紀初めには、"honey"というような文字が指輪の内側に刻印されていました。

 5世紀のローマの著述家マクロビウスによると、婚約指輪は左手の4番目の指に着けられたということです。それはこの指から特別の静脈が心臓に直接繋がっていると信じられていたからです。

 以前は婚約指輪と結婚指輪の区別はなかったのですが、ローマ法王が、結婚の前にもっとお互いを知るべきだとして、婚約期間を奨励したことから婚約指輪が生まれたということです

 西暦860年に教皇ニコラス1世が「婚約発表には婚約指輪が必要である。夫となるものは高価で経済的な犠牲を払わなければならないような指輪を将来の妻に贈るべし」というような決まりをつくったのだともいわれています。

 中世では婚約指輪にはサファイアやルビーが使われていました。

 1477年、ドイツのモロルティンガー博士が、神聖ローマ帝国皇帝になるマクシミリアン大公に対して、ブルゴーニュのマリー公女との婚約に際し、ダイヤの婚約指輪を贈るよう助言したのが、ダイヤを婚約指輪に使った最も古い記録となっています。

 また、1503年のヴェネツィアの結婚証明書には、婚約指輪としてダイヤモンドつきの指輪が記載されているそうです。

結婚指輪の由来

 教会が結婚指輪に祝福を与えるようになったのは11世紀ころからで、結婚指輪を左手の薬指にはめるのはそのころからの風習ですが、厳格なきまりになっているわけではありません。

 少なくとも16世紀末までのイギリスでは右手の薬指にはめることになっていました。

 西洋の慣習では、人差し指にはめれば「大胆」、中指にはめると「分別」薬指なら「愛情」、小指にはめると「傲慢」の印とされているということです。そこで薬指にはめる意味が出てきているのでしょう。結婚指輪は「誠実・貞節」を意味していますが、これは配偶者への「誠実・貞節」ばかりでなく教会に対しても「誠実・貞節」を約束するということを意味しています。

 一説によれば、1554年、イギリスのメアリー女王がスペインのフェリペ2世との結婚に際して、甲丸指輪を用いたのが最初とされています。

 なお、日本では結婚指輪をマリッジリング(Marriage Ring)と呼びますが、正しくはウェディングリング(Wedding Ring)またはウェディングバンド(Wedding Band)です。


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