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懇親会の予約をしようと豆腐と湯葉の店「梅の花」に電話しましたが、何度かけても繋がりません。仕方なく店まで出向いて「電話が外れてるのではないか」と尋ねると、予約の電話がひっきりなしにかかるので繋がらなくて申し訳ないと恐縮していました。予約したいと思ったいくつかの日はすべて満席でしたので、すごすごと引き揚げました。昨年12月に出来たばかりの時、人に連れて行って貰って美味しかったので、新年になって家族で食べに行き、家族全員からもう一度食べたいと喜ばれた所でした。1
人あたり5000円で料亭並みの味と雰囲気ですから流行るのは当然です。
帰りに街をぶらついていると「洋服の青山」があった場所に「THE SUIT COMPANY」という洋服店が開店していて、明るく洒落たブティックといった雰囲気だったので覗いてみました。店員はお客に「いらっしゃいませ」と言わずに「こんばんは」と挨拶するので、私にはちょっと違和感がありましたが、若い人向けにはこの方が良いのかなと思いました。スーツが
19,000 円と 28,000 円の2プライスという低価格で分かりやすい設定でしたし、値段の割には良い商品かなと感じました。品物を手にとっても店員が近寄ってきません。これは精神的にとてもいいなと感じました。デパートですと見ているだけですぐに店員が近寄ってきて「何をお探しですか」と訊かれるので、ウィンドショッピングの時はすぐに帰ってきてしまいます。店内を歩いていると客数も多く流行っていました。ただ体型が若向きなので私には合わず、こちらもすごすごと引き揚げたのでしたが。
たまたま業種は違っていても繁盛している店を2店続けて見ていると、共通する点が多いのに気付きます。価格が品質に較べて割安であること。安売り店と言うより高級店の雰囲気であること。店員の教育がしっかりしていること。店のコンセプトが明確であることなどが挙げられます。
店のコンセプトについて説明すると、「梅の花」は「和風料理」ではなく「豆腐と湯葉料理」ときっちり範囲を決めています。「THE
SUIT COMPANY」では「紳士服」ではなく「若者向け紳士服」にターゲットを絞っています。つまりマーケティングで言うマーケット・セグメンテイション(市場細分化)あるいはプロダクト・セグメンテイションを行っているのです。
百貨店の凋落が著しいのですが、その原因は一つには価格競争力、もう一つは顧客ターゲットを絞り込めないことではないかと考えています。商品が有り余っている現在、消費者は自分だけの商品を求めているのに、誰にでも合いそうな無難な商品は買ってくれません。
翻ってジュエリー業界はどうでしょうか。小さな店が大きな店と同じような商品内容では大きな店に勝てるはずがありません。特色を出すことしか生き残る道はないのに、商品カテゴリーを絞るとお客が減るのではないかと怖がって今までの行き方を続けている店が大半ではないでしょうか。かつて3兆円市場といわれたジュエリー業界も今はその半分しかありません。それにも拘わらず業者数は半減していませんから、半分になるまで自然淘汰が進むのは明らかです。淘汰されない側に立つためには、繁盛する店のノウハウを取り入れるしかないでしょう。 |
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