全宝協問題を考える−3. 抜き打ち検査が必要 |
2010/06/24 |
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宝石鑑別団体協議会(AGL)が今月21日に発表した検証作業の結果では、再鑑定されたダイヤ1052個の13.2%に当たる139個(1カラット以上は235個で35.3%に当たる83個)のランクが著しく下がったとのことです。このように大量の不正鑑定を見逃してきたAGLの責任は重いと言わなければなりません。
カラーグレードにおける2段階の差が認められるのは3個までだったはずです。かつて中宝研問題が起きたとき、私たちは「これは意図的な中宝研つぶしだ」として除名処分に反対しました。1日1000個の鑑定をしているところと10個しか鑑定していないところを、絶対的な個数で除名にするのはおかしい。1カ月鑑定数の0.1%とか比率で計算すべきだし、グレードかさ上げも実は暴力団からの脅しによってやむなく実行したので、中宝研側の主体的な意志によって行われたのではないから札幌支店だけの閉鎖に止めるべきだと主張しました。しかし当時のAGL幹部(その中には全宝協の社長も入っていました)は「規則制定当時、中宝研も加わっていた。規則は曲げられない」として除名されてしまいました。
今回は検査しただけで、あのときの10倍以上、問題の期間中のものを全部検査したとすると44,660個と、とてつもない数の不正鑑定になります。これだけの不正が行われていてAGLが気づかなかったはずがありませんし、もしも気づかなかったとすれば、怠慢とのそしりを甘んじて受けなければなりません。
また、現在はマスターストン制度があるカラーグレードだけが問題となっていますが、クラリティグレードについても、今回の見直しで下がったという実例を見聞きしています。誰が見てもおかしい鑑定結果であれば公表すべきだと思います。
さて、問題は今後です。このようなことを2度と繰り返してはなりません。それには、問題が発生してから対処するのではなく、普段から各社の鑑定を抜き打ちでチェックしていくことが必要です。
たとえば国際宝飾展(IJT)やジャパン・ジュエリー・フェア(JJF)などの業者間取引の会場で、ソーティング付きのダイヤで、表示グレード(カラーもクラリティも)と較べて市場価格より明らかに安く売られているものをチェックし、怪しいと思ったら買い求めて、あとできちんと鑑定し、もしも明らかに違っていれば鑑定会社に対して警告し、イエローカード3回で除名するようにすれば、今回ほどの大量の不正鑑定は防げるはずです。
AGLは「宝石業界の健全な発展と消費者保護に貢献することを目的として」いるのですから、今回の問題を奇貨として、鑑定への信頼性を回復させて欲しいと思います。 |
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