全宝協が破産申請を準備 2010/10/30
 民間信用調査会社の東京商工リサーチによると、宝石鑑定の大手「全国宝石学協会」(東京都台東区、高橋夏樹社長)は10月29日、事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。負債総額は今年3月期末で約4億1800万円。
 1965年10月に「全日本宝石協会」として創業の同社は、1969年に現商号へ改称。鑑定のほか、鑑定機材の販売や鑑定士育成講習会で、92年には年商約13億7900万円を上げていた。
 しかし、景気低迷による売上の減少に加え、ダイヤモンドの鑑定かさ上げが報じられたことで、百貨店が全宝協の鑑定書、鑑別書の取り扱いを中止するなど信用が失墜。これ以上の事業継続は困難と判断し、今回の措置に至った。

全宝協は除名処分相当 宝石鑑別団体協議会が議決 2010/06/21
 全国宝石学協会の(全宝協)のダイヤ・カラーグレードかさ上げの検証作業を進めてきた宝石鑑別団体協議会(AGL)は、本日ホームページ上で結果報告と全宝協の除名処分相当との理事会での議決結果を発表した。
 AGLによれば、検証したダイヤは1052個(そのうち1カラット以上のものは235個)で、カラーグレードが2グレード以上違っていたものが27個(1カラット以上では21個)、2グレードではないものの明らかに許容できない1グレードの差があったものが112個(1カラット以上では62個)にのぼった。
 鑑定対象となったダイヤは約33万8000個なので、単純に比例計算すれば2グレードの差があるものが8,675個、許容できない1グレード差のものが35,985個、合計で44,660個も存在することになる。これは全宝協の高橋社長の「自社評価のずれを修正しただけ」との主張が崩れたことを示している。
 検証作業の結果を受けて開かれたAGL理事会では、この結果はAGLのダイヤグレーディングシステム全体の対する信頼性を著しく傷つけるものである。本来なら総会決議で除名処分にすべきなのだが、全宝協はすでに退会しているので、除名処分と同じく2年間の会員復帰を認めない除名処分相当にすることを決めた。

全国宝石学協会 宝石鑑別団体協議会を退会 2010/05/22
 毎日新聞の報道を受けて5月21日に開かれた宝石鑑別団体協議会(AGL)の緊急理事会で、全宝協の高橋夏樹社長らから事情を聴いたところ、協議会などが定めたカラー評価を統一する基準石より「1〜半ランク、カラレス(無色側)へ修正」とする内部文書を作成したことを認めたという。
 全宝協は「疑惑を持たれる内部文書を作り、流出させた」としてAGLに退会届を提出したが、土居芳子会長は「自主退会は受理したが、再鑑定で問題が確認されれば(最低2年間復帰できない)除名処分もあり得る」「現時点では(カラーグレードかさ上げの)証拠のダイヤがない。再鑑定結果を集約して判断する」と述べた。
 またAGLでは全宝協が鑑定したダイヤモンドを無料で再鑑定すると決めた。土居会長は「購入した店に相談してダイヤの枠を外した上で、鑑定会社に持ち込んでほしい」と呼びかけている。
 なお、大手百貨店などは今後のダイヤモンドの販売には全宝協の鑑定書を使わないことを決めている。三越ではAGLを退会したとの理由で全宝協の色石鑑別書も取り扱わないとの方針。

全国宝石学協会 ダイヤ・カラー鑑定のごまかしが発覚 2010/05/15
 毎日新聞が15日付朝刊1面トップと社会面で「ダイヤ鑑定かさ上げ」と題して全国宝石学協会(全宝協)がダイヤモンドのカラーグレードをごまかしていたことを報じている。
 報道によれば、全宝協は業界団体の統一基準より意図的に「カラー」を甘く鑑定し、価値をかさ上げしていた疑いのあることが複数の関係者の証言で分かった。かさ上げ鑑定は07年2月下旬から始まり、外部から指摘があった08年10月下旬まで続いた。この間に鑑定対象となったダイヤは約33万8000個。全宝協は「自社評価のずれを修正しただけ」と主張するが、全宝協も加盟し、統一基準を出している「宝石鑑別団体協議会」(土居芳子会長)は、基準を逸脱する行為の可能性もあるとして、近く全宝協から事情を聴くという。
 この報道を受けて、全宝協の鑑定書を使ってダイヤを販売している三越や高島屋などの大手百貨店や一部小売店などが情報収集と対応に追われている。

ピンクダイヤモンドに合成石出現 2010/03/31
 中央宝石研究所と全国宝石学協会が相次いで合成ピンクダイヤモンドを発見したことを伝えている。
 中央宝石研究所が発行している3月9日付のCGL通信No.10によれば0.24ct.のピンクダイヤモンドが鑑別に持ち込まれ、鑑別の結果CVD(Chemical Vapor Deposiotion 化学気相成長法または化学蒸着法)により合成されたダイヤであることが判明したという。
 鑑別は比較的簡単で、アーガイル鉱山産の天然ピンクダイヤモンドは弱いブルーの蛍光を発するのに対して、合成ピンクダイヤモンドは強いオレンジ色の蛍光を発する。
 現在のところ価格は天然の3割安程度と非常に高いので、海外などで天然と間違えて買うことも考えられる。信頼できる鑑別機関の鑑別あるいは鑑定をとってから買う必要がある。

2009年のジュエリー小売市場規模 前年比11.9%減 2010/03/08
 矢野経済研究所は2月24日、2009年に年間を通じて宝石専門店チェーン、百貨店や時計宝石店など約4000社を調査した「宝飾品(ジュエリー)市場に関する調査結果2010」の調査結果概要を発表した。
 それによると、2009年の宝飾品小売市場規模は前年比11.9%減の9283億円と落ち込んだ。その理由として、消費市場全体を取り巻くデフレの影響がジュエリー市場にも影響を与えたと述べている。その結果消費者の購入単価の下落につながり、売上維持のため安価な企画商品を投入することによって、さらに単価が下落するという悪循環に陥ったと分析している。
 一方、クリスマス商戦になってようやく回復の兆しが出てきており、今後贅沢品に対する消費マインドも回復していくので、2010年以降は緩やかに市場は回復していくだろうと予測している。

ダイヤモンド価格 再び上昇気配 2010/01/30
 2008年9月のリーマンショック以来下落していたダイヤ価格が、中国やインドなど新興国の景気回復とともに再び上昇し始めている。
 ダイヤモンド価格指標サービスのアメリカ・ラパポート社が1月29日に発表した価格リストによれば3カラット以上の大粒石の価格が2%以上上昇している。また、バイヤーからの報告ではデ・ビアスが原石の価格を引き上げたとのことである。
 今後、2カラット、1カラット、1カラット未満と次第に小粒石に価格上昇の影響が及んでくるものと思われる。






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