鑑別表記に消費者契約法問題浮上 |
2004年6月17日 |
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既報の通り日本ジュエリー協会(JJA)と宝石鑑別団体協議会(AGL)では鑑別表記の改正を今年9月から実施するが、それに合わせたかのように新た問題が浮上した。
ほとんどの宝石に何らかの処理が行なわれているのは業界内では常識となっているが、消費者に対しては「一般的にエンハンスメントが行なわれています」というコメント付きの鑑別書を付けるだけで、エンハンスメントが何を意味するのか説明しないまま販売している宝石店が多いはずだ。
ところが、消費者契約法(平成12年5月12日公布)では、重要な事実を消費者に知らせずに販売したり(不実告知)、あたかも実際よりも素晴らしいものだと消費者に思わせたり(優良誤認)すると、消費者がその事実を知ったときから6ヶ月以内なら販売店に対して契約の無効を主張できることになる。ただし契約締結の時から5年が時効。
実際に今春、二重価格表示販売で次のような高裁判決が出ている。
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41万4000円の値札のついたダイヤの指輪を「29万円にするから」と言われ、「これならお得」と思い、このダイヤをローンで購入した主婦が、購入後、実は市価よりも高すぎるという事実を知り、売買契約の取り消しとダイヤの返却を行い、ローンの支払いを拒絶していた。ローン契約を結んでいたオリコが主婦に対し返済を求めたが、主婦は契約は無効として提訴。一審の大阪地裁では「商品価格は基本的に売主の自由」だとしてオリコの請求を認めたが、判決を不服とした主婦は控訴し、オリコ側が価格鑑定を提出しなかったこともあり、二審の大阪高裁は、「専門家の意見書による指輪の小売価格は12万程度、売主は指輪の価値を41万4000円程度と消費者に誤認させる表示をしていた。消費者契約法に基づき売買契約は無効とすることができ、支払い請求にも理由がない」として、一審の判決を覆した。
(日本消費経済新聞2004/4/21を転載) |
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消費者契約法に詳しい弁護士の意見では、ジュエリーのナショナルセンターであるJJAとAGLが宝石の表記について取り決めた場合、その効力はJJAやAGLの会員ばかりでなく、すべての宝石商に及ぶと言うことだ。
これからは消費者に販売する場合、天然無加工の宝石以外なら、必ず宝石には何らかの処理が行なわれていることを情報開示しなくてはならなくなる。
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