紛争地産ダイヤモンドに様々な圧力 2000年8月18日
7月 12、13 両日行われた沖縄サミットのG8外相会議で、「紛争予防のためのG8宮崎イニシアティブ」を採択した。この中で、アンゴラ、コンゴ、シエラレオネなどの紛争地域ではダイヤモンドが反政府組織の武器調達の資金源になっているので、紛争予防の見地からも紛争地域からダイヤモンドを買わないように規制する必要があるとして、市場から排除するための適切な措置を検討することとした。これを受けて、世界各地のダイヤモンド取引所は紛争地産ダイヤモンドを扱わないことを決議し、政府の原産地証明を取引に使うなどの規制措置を会員に通知した。またベルギー・アントワープの4銀行は、取引先がダイヤモンドの不正取引に関与していないかどうか確認を徹底することにした。この4銀行は現地で「ダイヤモンド・バンク」と呼ばれるほど強い影響力を持っている。ただ、この規制を見て不思議に感じるのは、紛争地域で産出するのはダイヤモンドばかりでなく、ルビーなど他の宝石も麻薬もあるわけで、ことさらダイヤモンドを狙い打ちにするのは別の意味があると思われる。つまり、デ・ビアスがコントロールできないようなダイヤモンドの産出を押さえる目的があるのだろう。デ・ビアスの背後にはユダヤ資本があり、これが日本以外の、米英をはじめとする政府を動かしたと見るべきだろう。


デ・ビアスの新戦略=デ・ビアスのブランド化 2000年8月18日
デ・ビアスは7月12日、Supplier of Choice (SOC) という新戦略を発表した。新戦略に伴い従来からのデ・ビアス中央販売機構は The Diamond Trading Company (DTC) に改組された。デ・ビアス社長のギャリー・ラルフ氏は「五年以内には数多くの競合ブランドが業界に台頭してくるものと予測している。需要はブランド競争によって刺激される。いずれデ・ビアス・ブランドがその一つになることを期待している」と語り、デ・ビアス・ブランドを展開させることを明言している。この新戦略発表と同時に、デ・ビアスは60年に及ぶ宝飾用ダイヤモンドの価格維持政策を放棄する方針を発表した。デ・ビアスの抱えるダイヤモンド原石は現在約無39億ドルといわれており、今後5年間に25億ドルまで下げるという。このため、一部にはダイヤモンドの価格が下がるのではないかとの観測も呼んだが、VS 以上の高品質ダイヤモンドについてはブランド化推進により高値維持政策を続ける。


ダイヤモンド展が開催されます 2000年6月23日
日本初のダイヤモンドの祭典「ダイヤモンド展」が9月9日(土)から11月12日(日)まで、東京・上野の国立科学博物館で開催される。
この展覧会は、1997 年から99年にかけて、アメリカ自然史博物館、サンディエゴ自然史博物館で開催された「The Nature 0f Diamonds」展を核として国立科学博物館、競売新聞社が主催するもの。アメリカ自然史博物館の全面協力を受け、同博物館ジョージ・ハーロー博士監修による米国展の展示品を基本とし、日本展は、国立科学博物館地学研究部松原聡博士らも監修に加わって独自の展示品に加え、ダイヤモンドの科学から世界の宝飾品まで、ダイヤモンドの知られざる謎と神秘をわかりやすく解き明かしていく。
展覧会は2部構成となっており、第1部「ダイヤモンドの科学」では、アメリカ自然史博物館の展示品を中心に、ダイヤモンドの性質と誕生、その鉱物的組成、世界の分布と採鉱、美しい宝石への生まれ変わり、ますます重要性を増す工業用ダイヤモンドの活用などを紹介する。第2部「世界のダイヤモンドジェエリー」は、日本ではなかなか見ることができないダイヤモンドの逸品が世界中から集まる。ブルガリ、カルティエ、クロムハーツ、ハリーウィンストン、ミキモト、田崎真珠、テイフアニー・アンド.力ンパニー、ヴアン・クリーフ&アーペル(予定)などの世界を代表するジュエラーが、それぞれ歴史と話題を集めたジュエリーを約50点出品する予定で、世界から集められた260個、総計 231.17 カラット〉のブルー、ピンク、オレンジ、イエロー、ブラウンなどのカラーダイヤモンドのコレクション、15 世紀から20世紀のダイヤモンド婚約指輪約30点を集めたパワーオブラブコレクションなどなかなか見る機会がないものばかり。


ダイヤの新しい処理法が開発された 2000年6月12日
ダイヤの表面近くにある黒いカーボン・スポットにレーザー光線を照射すると、カーボンが熱で膨張するため、表面に目には見えない極く僅かな割れ目が出来る。そこで、そこから酸を染み込ませてカーボン・スポットを取り除くことが出来る。その跡は白いインクルージョンになる。黒よりも白の方が見た目が良いため、同じクラリティであっても高く売れることに目を付けた処理法で、KM 法と呼ばれている。従来からあったレーザー光線による処理では、カーボン・スポットまでレーザー・ドリルの穴が空いていたのですぐに分かったが、KM 法ではそれはない。表面にまで達しているクラックでも、自然に出来たものは研磨したときに出来る引っ掻き傷が500倍に拡大すると見えるが、KM 処理では研磨してからクラックが出来るため、引っ掻き傷が見られない。しかしKM処理をしてから再研磨すれば引っ掻き傷が出来るので、この方法だけでは処理してあるかどうか判別できない。大粒石を中心にKM処理が行われているとのことだが、0.2 カラットくらいの小粒石でも処理されているとの情報がある。昨年末頃からこの処理が行われ始めたということで、現在では広く行われているという。


ダイヤのクラリティ・グレーディングに問題発生 2000年02月03日
昨年11月、ジュエリータウンおかちまちの会員から私に、「宝石鑑別団体協議会(AGL)加盟の某鑑別会社のSI2のクラリティー・グレーディングが著しく甘い」「大手宝飾メーカーがその鑑定書を使って、大儲けをしている」という苦情が寄せられた。そこで日本ジュエリー協会(JJA)宝石部会長に連絡を取り、善処を要望した。 宝石部会長がAGLに連絡したところ、既にAGLもそうした事実をつかんでおり、鑑別会社に警告を発し、会員には実名をあげてこうしたことを起こさないように警告した。当該鑑別会社も非を認め、11 月22日以降の鑑定からは正常化された。JJA では今年1月の理事会で報告をして、1 月25日に会員と宝飾記者会に事件の顛末を公開した。
以上が事件のあらましだが、問題が2つある。  
第1は、鑑別会社ごとにグレードの差があることを業界人は知っていながら、あえて問題にしていないことである。1グレード違えば10から15%値段が違うが、それはどの鑑別会社を使っても同じグレーディングになることを前提にしている。鑑別会社も営利企業であるから、顧客であるメーカーの意向に逆らうことは難しい。大手企業ほどそうした要求を突きつけてくることは業界人の常識になっている。  
しかし、消費者保護の観点から見て、またジュエリー業界の信頼性と言った見地からして、こうしたことは許されることではない。  今回の問題でも、実際に儲けたのは鑑定を依頼したメーカーである。大手5社が多いと言われているが、こうした会社が問題になったダイヤを再鑑定したという話は聞いていない。JJA 内部でも鑑別会社名とともに鑑定依頼業者名も公表すべきだという意見が出たが、なぜかうやむやになっている。こうした会社がJJAの要職についているせいだと噂されている。  
私は、こうした場合、ダイヤの回収を義務づけるべきであると考えている。少なくともJJA会員はそうしなければならない。そうすることによって、JJA 会員の店で買えば安心だと言うことになるはずだ。  第2に、カラー・グレードについてはマスターストン制度があるため、鑑別会社ごとの差は殆どないが、クラリティー・グレードについてはマスターストンがないことである。  
この事件を契機にAGLではとりあえずSI2のマスターストンを作ろうとサンプルを集め始めた。しかし、VS、VVS、IF のマスターストンを作らなければ意味がない。  JJA も資金協力して、現在の「カラー・マスターストン原器管理運用委員会」をクラリティーを含めた運用委員会に改組すべきだ。  
また、JJA が発足するときに、AGL は「鑑別会社は公正中立の立場で鑑別鑑定をしているので、JJA のような業者団体には入らない」と言っていた。しかし実際は鑑別会社も営利企業であるし、こうした問題が起きたとき、別組織というのは調整に非常に手間取る。問題解決が遅れれば遅れるほど、ジュエリー業界に対する信頼は揺らぐ。AGL もJJAに入るべきだと考える。  現状では、消費者に対して、「鑑別会社間でグレーディングには差がある」ことを良く知らせることしか対策がないというのは、あまりにも情けない。








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