新技法サファイアの新コメント表記 |
2002年6月10日 |
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5月31日付のAGTAの発表によれば、GIAの主催で開かれた、GIA、AGTA、タイ宝石研究所、SSSFスイス宝石研究所、ジョーン・エメット博士(結晶化学社長)、ジョージ・ロスマン博士(カリフォルニア工科大学鉱物学教授)との合同会議の結果、新技法サファイアの表記方法について結論に達し、AGTAとGIAは直ちに鑑別書への表記方法を変更したと発表した。
第1に、色変化が石の外縁部(rim)にあるか、内部まで浸透しているかを問わず、これはバルク・ディフュージョン(bulkdiffusion:
注.表面だけではなくある程度の厚みを持った拡散処理のことではないかと思われる)によるものであり、従来宝石学で使われてきた表面拡散処理という用語は適当ではなく、今後バルク・ディフュージョンという用語に置き換えられるべきであるとしている。この場合、処理のコメントとして、「熱処理の兆候を認め、表面から見える色はバルク拡散処理により生じたと認める*」とする。
第2に、新技法による処理中に合成物質の成長が起きている。この物質が、カットされた石にそのまま残っているとすれば、更に「合成による成長部分が存在する*」というコメントを追加する。
*コメントの訳は私個人による意訳であり、正確ではありません。今後、AGLおよびJJAによってきちんとした訳語が考えられることになるでしょう。原文は次の通りです。
" indications of heating and of surface-related color created by bulk
diffusion areas of synthetic overgrowth are present"
なお、これは主として、黄色、オレンジ・ピンク、オレンジがかった赤色のサファイアについて用いられるものであり、ブルー・サファイアには影響が無いとも述べている。
以上のことから、今年になって問題化していたパパラチャの処理に関して、エンハンスメントかトリートメントかという点については、トリートメントとすることで一応の決着を見たと考えられます。新技術が出てくれば新しい定義を考えるべきだという私の主張通りの展開になりました。 |
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